この春からオンライン国語授業を始めて4か月がたち、私も随分とオンラインの場に慣れることができました。
そして、毎回 中高生のみなさんにパソコン画面を通して会えるのがとても楽しみでした。
毎週ネットを介してみんなで集まり、不思議な連帯感も生まれました。
リアルに会っておしゃべりするわけでもないのに、その子その子の個性も垣間見えます。
疲れたり眠かったりする夜でも、パソコンの前に座ってくれて、難解な文章を一緒に読み解いたみなさんのお顔を思い浮かべると、
これだけは伝えておきたい!と強く思うことがあります。
国語を学ぶということは、人生を豊かにすること
国語は他の科目と違って、暗記するものでもないし、一夜漬けで何とかなるものでもありません。
日々の積み重ね、つまり個々人の人生そのものが、文章を読み解く力となります。
今は意味がわからなくとも、数年後には意味がわかる文章があります。
それは、それだけ自分自身が成長したという証です。
言葉をたくさん知っている
いろいろなことを経験した
良いも悪いも含めて、様々な気持ちを味わった
本をいっぱい読んだ
筋道立てて物事を考える習慣がある
悩んだり思索に耽ったりする時がある
雑学、教養がある
これらのすべてが人を成長させます。
オンライン国語授業と私の役目
私は、中高生がちょっと難しい文章を読むときに 読解のお手伝いをしたい という思いで授業をしています。
1人で読むと意味不明な内容でも、みんなと時間を共有し、ラインマークしたり論理構造マップを書いたりすることで理解が促されるかも知れない。
ちょっとしたヒントをもらうことで「わかった!」と腑に落ちる瞬間の喜びを得られるかも知れない。
そんな経験を重ねて欲しくて、授業をしています。
中高生の時期に難解な小説や論説文を理解する体験を積めば、確実に教養が身につき 知的世界が拡がるからです。
経験者は語る
浪人を経て京都大学の文学部に入学した娘も、
「現代文を読んで、記述する勉強が 自分を最も成長させてくれた」と言います。
確かに、もうすぐ二十歳になる彼女は、大人の私でもよく分からない おそろしく難解な文章を読みこなせるようになりました。
初めからできていたわけではなく、中高生と浪人の時期に 「意味がわからない!」文章を諦めずに読み続けた結果です。
そして、大学入学後には 社会学や民俗学のレポートも 苦労せずに書けているそうです。
読解によって獲得した有識者たちの知見を理解したことで、それらがいつのまにか形を変えて自分自身の考えになっているからです。
そうなれば、仕事や経済、政治など世の中のことについて、自分の意見が持てるようになります。
自分の言葉で語れるようにもなります。
それが大人になるということです。
中高生のみなさんに伝えたいこと
あらゆることを吸収できる今の時期を大切に過ごしてください。
ぜひ、ちょっと難しい文章を読み、深く理解するクセを身につけてください。
読書習慣のある人は、その時間を心ゆくまで楽しみましょう。
本はちょっと…という人は、週に1回でも、難解な文章を読み解く時間を自分に課してください。
書物を読んで理解できる世界が拡がると、みなさんの人生はより豊かになるはずです!