塾に通うことよりも大切なのは家庭学習

中学受験にしろ高校受験にしろ、受験をする場合は進学塾に通うことが一般的です。

そして通塾を始めてしばらくしたころに、少なからず耳にするのが「塾の授業スピードについていけない」というお悩み。

とくに中学受験の場合は、小5・小6ともなると、通塾回数が多い上に拘束時間も長くなり、家庭学習のための十分な時間がとれず、宿題をやることすらままならない子もいます。

今週習ったことを確実に理解・暗記しないまま、翌週には新しい単元の学習に入ってしまう、という悪循環に陥っている子もいるのではないでしょうか。

学習内容が難しくなっているのに、ゆっくり咀嚼する時間が与えられないので無理もないのですが、これでは消化不良を起こしているのに、次から次へと詰め込まれている状況です。

受験に塾通いは欠かせませんが「塾に通っていれば合格する」「宿題さえしていれば成績が上がって実力がつく」わけではありません。

大切なのは、塾にいる時間よりも家庭学習の時間です。

塾でインプットした内容は、家庭でしっかり消化しなければなりません。
インプットと同時にしっかり理解し暗記もできる子ほど、家庭学習の負担が少なくなります。

塾は活用してこそ価値があります。 塾通いの主役はお子さんです。

塾の言いなりになるのではなく、家庭が主導権を握って塾のノウハウを利用すべきです。

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国語教室ミルンでも、レベル3~5クラスには家庭学習用の教材をお渡ししています。ただし、その活用法は各ご家庭にお任せしています。

なぜなら、人によって授業で学習した内容の理解度も定着度も違うからです。

つまり、ある子には必須の宿題が、別の子にはわかりきったことであり、やる必要がない場合もあるということです。

授業で履修したページの間違えた問題にはチェックマークをつけています。

そのチェックマークが多い単元をそのままにして、復習や宿題をしないまま放置すれば、いくら教室に通ってくれても、国語ができるようにはなりません。

逆に、すべての問いに正答できているなら、その単元は授業中に理解できているので、宿題をする時間を別の科目を勉強する時間に回した方が良いという判断もできます。

そして、その判断は小学生が自分でするのは難しいので、親がすべきであるとわたしは思います。

塾に通うメリットは?

では、何のために塾に通うのでしょう?

主な目的は次の3つです。

⑴カリキュラムがある

大手進学塾には中学受験に必要な範囲を網羅したカリキュラムがあります。

このカリキュラムの波にのることができれば、受験までにすべての範囲を効率よく終えることができます。

中学受験経験があってもなくても、親が出題範囲のすべてを把握してスケジュールを立てるのは、まず無理でしょう。


⑵テストがある

大手の進学塾なら定期的にテストを実施してくれるので、お子さんの現時点の学力を知ることができます。

毎週あるいは隔週で行われるチェックテストでは「前回の授業内容が理解できているか」、 実力テストでは「これまでに習ったことが身についているか」を判断できるので、手遅れにならないうちに対策をたてることもできます。

また偏差値とともに弱点ポイントなどを示した個別の分析レポートを出してくれるので、大いに活用しましょう。


⑶志望校に関する情報が豊富

各中学校の出題傾向などの情報が豊富にあることは、進学塾の大きな魅力。

我が子に合う中学校や、志望校に合格するのに足りない力などを細かく提示してもらえるのも、これまでに蓄積した膨大なデータがあるからこそです 。

我が子に合った塾を選ぶ

たいていの塾はとりこぼしがあることを前提として、スパイラル形式のカリキュラムを組んでいます(ただし難関校狙いの子を対象にした塾のカリキュラムは、理解力の高い子を対象に無駄を省いて作られているので、「繰り返し」が多くはありません)。

そもそも新しく習ったことを1回で100%身につけるのは不可能なので、最初は70~80%理解して覚えていれば良しと考えます。

再度その単元を学ぶときに、90%を目標にするなど、我が子の理解力に合わせて現実的な目標をたてましょう。

6年生の受験本番時に、志望校に合った学力がついていれば良いのであって、教材のすべての問題が解ける必要はありません。

重要なのは、「1回1回の授業をしっかり理解して、志望校の合格に必要な知識を定着させる」という我が子に合った復習サイクルが組めること

そうでないと、塾のスピードに乗ることができません。

我が家の場合、 塾を選ぶ際の条件は以下の3つでした。

⑴わたしが仕事をしているため送迎ができないので、ひとりで徒歩か自転車で通えること。

⑵習った内容をその週のうちに理解定着する時間が確保できるよう、塾の拘束時間が短いこと。

志望校の合格に合わせた必要最小限のカリキュラムで (我が家の場合は愛知県) 、関東や関西向けの内容は省いてあること。

とくに⑶に関しては、3年生のうちに複数の塾の短期講習を受講したり、先輩ママさんたちに相談をしたり、各塾の教材を見比べたりして情報収集に努めました。

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息子君が麻布中学を受験する予定の転勤族のママ友は、首都圏もターゲットに含んだ進学塾の教材を取り寄せ、 塾には通わずに家庭学習だけしていました。
毎日水泳の練習があるため、塾に通う暇はない とのことです。

ただし週末のテストだけは受けていたので、塾のメリットの⑴⑵⑶はしっかり享受していました。

でも当時6年生だった息子君の教材を見せてもらったところ、「うちの娘には難しすぎるし、内容も多すぎる!そもそも関東の中学は受験しない」ということで、その塾は候補から外しました。

しかもその息子君は幼い時から人並外れて頭がよく、麻布中学にも合格し(入学はしなかった)、その後開成高校にも合格し(入学はしなかった)、東大にも現役合格したので、彼と同じように我が子が学ぶのは無理があったと思います (外して正解) 。

もちろん娘たちの志望校に合格したお子さんを持つママたちにも相談し、お子さんの実力や通った塾の特徴なども入念に調べました。

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先輩ママたちから様々なアドバイスをいただいた結果、

「より高度な思考力や表現力は入学後に身につければ良い」

「 進学塾に通う目的は、合格するための知識を身につけること」


「知識を確実に定着させるのは家庭学習の時間」


と割り切って考えることができるようになりました。

「200人に10人はいるといわれる天才」でもない娘たちに多くを求めることはやめて、とにかく志望校合格に向けてコツコツと知識を確実に積み重ねられることを重視したのです。

一方で、中学受験で燃え尽きてしまわないように

『合格は結果であり目標としないこと』

『 受験勉強は、何かを達成するためには努力が必要であることを体験する手段である』

とも言い聞かせていました。

そうして決めた塾には、小4~6年までの3年間無理なく通うことができました。

現実的な週間計画表をたてて、実行しよう

娘が5年生のときの1週間の計画表です。

水色部分が塾の拘束時間で、黄色部分が家庭学習の時間。

塾のカリキュラムに合わせて、家庭学習の内容も細かく決めてルーチンワークとしてこなしていました。

国語の読解指導も『母特訓』と称して週に二回受けています(この指導法が、現在の国語教室ミルンのもとになっています)。

小1から早起きをして簡単なドリルや読み聞かせをする習慣を作っておいたおかげで、小6までは朝に勉強をする時間を持てたことも大きなメリットでした(今は家族全員が夜型人間です)。

その結果、毎日2時間程度は予習や復習をすることができ、それほど苦労もせず学習サイクルを回すことができました。

予定通りにできなかった分はその週の日曜日までに終えれば良いとすることで、親子とも気分的に余裕を持って取り組むこともできました。

また、4年生までは週に3回習っていたバレエを5年生になってからは週1回に減らし、友だちと遊んだりピアノの練習をしたりする時間も確保しました。

土曜日の午後や日曜日は細かい予定を入れず、余裕のある週には家族で出かけたり、心配な単元のあるときにはフォローアップの時間にあてたりしていました。

計画表は1回作って終わりではなく、数週間単位で見直すものです。

せっかく練った計画表が絵に描いた餅では意味がないので、確実に実行できるものを作りましょう。

「新単元の内容をテストまでに理解して覚える」ことさえできれば、あとは「すっかり忘れてしまわないうちに適宜復習をして、さらに定着させる」だけ。

このサイクルがうまく回せれば、その塾内ではトップクラスに在籍できるでしょう。

まとめ


塾は上手に活用してこそ価値があります。

成績が伸びないのであれば、まずはしっかり計画をたてましょう。

計画通りに進まないのであれば、その計画に無理があるので作り直しです。

家で暗記する時間がないのであれば、他の習い事を減らすか早起きをするなど、生活スタイルを見直しましょう。

暗記時間が塾の時間に含まれているのなら、その時間内にしっかり覚えるようお子さんに自覚させましょう(ただし、手助けなしで暗記できる子はある程度優秀な子に限られます。娘たちは5年生までは親による一問一答の暗記確認が欠かせませんでした)。

必死で頑張っているのにまったく成績が上がらないのであれば、塾を活用しきれていません。

我が子が塾に振り回されているのなら、打開策として別の塾を考えてみるという手もあります。