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国語教室を運営し、何人もの生徒さんを指導してきた今だからこそ、ハッキリと言えます。

国語ができない原因はわかっています。

また、二人の娘が生まれてから成人するまでの成長過程をつぶさに見てきた者として、わかることもあります。

国語力は様々な能力がより合わさって作られる総合的な力であり、「受験の国語」で安定して良い成績を得るためには、すべての力を身につける必要があるということです(ここでは、あえて受験やテストで測られる国語力に絞って考えます)。

どれかが欠けていて、その弱い部分を突かれる問題が出た場合は、ふだんよりも低い点数となります。

その足りない部分が多いほど、国語は苦手な科目となります。

一方、たとえ弱い部分があったとしても、突出した力があれば、その弱い部分を補ってくれることもあります。

たとえば昆虫好きの子は、虫が話題の説明文は容易に読めるし、内容も理解できます。

でも、そんな運任せのまま受験を迎えるには、かなり勇気がいります。

確固たる国語力を身につけたいものです。

国語ができない原因とは?

◆語彙力が不足していると・・・

その文章に何が書いてあるのかがわかりません。

つまり、問題を解く以前に読めない状態で足踏みしてしまいます。

そもそも言葉を知らないので、選択肢の内容も吟味できないし、適切な言葉を用いて記述することもできません。

子どもにとって知らない言葉があるのは当然です。

私も、英語で書かれた論文はスラスラとは読めません。

ただし、前後の文脈から知らない単語の意味を推測することはできます。

意味のわからない言葉が多すぎると、この推測すらできません。

言葉を知らなさすぎるのが、問題なのです。

◆論理力が不足していると・・・

とくに説明文や論説文が読めません。

説明的文章は、因果関係・対立関係・言いかえの関係という三つの論理的関係を見抜くことで理解が容易になります。

これらの関係は、接続語の働きに重ね合わせることで、よりわかりやすくなるものです。

また、論理力の基本は主語・述語が捉えられることですが、これができなければ、一文の要約、段落の要約、文章全体の要約はできません。

つまり、文章全体に何が書いてあるのかは、理解できません。

◆読むスピードが遅いと・・・

時間内に解き終わりません。

文字を読むことに関しては、身体的あるいは脳の機能の影響もあるので一概には言えませんが、圧倒的に訓練の足りない子が多いという印象があります。

テレビからの情報は映像と音声で提供されるので、受け身でいても内容を理解できます。

一方、文章を読むためには、こちらから能動的に働きかけなければなりません。

目で文字を追い、書いてあることを咀嚼して具体的に思い描きながら、ページをめくって読み進める必要があります。

テレビやYouTubeに慣れてしまった子は、その読むという行為を「面倒くさい」と言います。

結果、文字を読むチャンスを逃しながら成長し、読むのが遅いまま中高生となります。

◆年齢の割に精神的に幼すぎると・・・

小説や随筆が読めません。

人は何かを体験したり見聞きした時に、喜びや悲しみ、悔しさといった感情を持ちます。

今までにない経験をすれば、自分の中に新しい感情が芽生えるでしょう。

とくに子どもは、外で体を使って子ども同士で遊ぶ中で、身体能力を高め、ルールを覚え、様々な感情を体験します。

そして、本を読むのが楽しく思えるのは、登場人物の心情に共感できてこそです。

主人公の気持ちが全然わからなければ、そのお話はつまらないものとなるでしょう。

ただ、人が実際に体験できることには限りがあります。

無人島で冒険したり、海でおぼれたり、といった経験はなかなかできるものではないし、敢えてしたくもありません。

そこで、読書です。

物語の中で主人公が出会う出来事や事件、その時に湧き起こる心情に読者は寄り添うのです。

読書による疑似体験は、子どもの精神的な成長を助長します。

今の子どもたちは、親の子ども時代よりもはるかに忙しい生活を送っています。

とくに中学受験をする子は、毎日のように習い事があり、時間がないと嘆いています。

そんな中で実体験を積むチャンスが奪われているのも、国語力が伸びない原因のひとつと考えています。

個人的には、今後小説の読解問題は減り、論理力を問う説明的文章の長文読解が増えるのではないかと思っています。

小説の読解は、作家と問題作成者、読者の見解が完全に一致することが難しく、解釈にある程度の幅があることは避けられません。

論理だけで心情を推し測るには、そもそも無理があるし、小説は自由に楽しんでほしいと思います。

入試で扱われる限り、指導はしますが・・・

国語教室ミルンの授業

毎年1年間の指導経験を積んだ分、新年度には改善したい指導内容や方法も見えてきます。

国語のできない原因がわかっているのだから、どうすればよいかを念頭に、毎年授業を設計し直しています。

◆語彙力アップ

文章は書き言葉で綴られます。

日常会話だけで身につく語彙力だけでは、到底国語ができるようにはなりません。

漢字や言葉を覚えるためのテキストを選定し、ご家庭で言葉を覚えてもらっています。

◆論理力アップ

【出口式の論理エンジン・塾専用テキスト】で、これまで見逃しがちだった論理力を構築します。

さらに、論理に対応した文章題のテキストを併用して文章を読みながら、どのように論理を使うのかを確かめます。

また、繰り返し論理を学べるテキストを採用して、家庭学習もできるようにしています。

◆読み聞かせと読解力アップ

レベル12クラスでは、ことわざや理科・社会の知識につながる本を読み聞かせ、一問一答を重ねることで、傾聴と理解を促します。

既知の範囲をできる限り拡げ、論理的に読める文章を増やしておくのが目的です。

というのも、高学年になると進学塾が忙しくなって本を読む時間を確保できない生徒さんもいるためです。

読解に際しては、レベル1~6のすべてのクラス国語教室ミルン・オリジナルのラインマークとフレームワークを利用して、論理的に読み解く術を指導します。

◆読み応えのある完結型の読みものを選定

大手進学塾や一般の塾の国語のテキストは、長い文章の一部分を切り抜いたものがほとんどです。

毎日本を読む習慣がある子は、ある程度の国語力を備えているので、切り抜かれた一部分の文章を読んでも理解できます。

そういう子は、進学塾に通っていても、国語の授業についていけるはずです。

でも、国語力の低い子が「切り抜かれた一部の文章を読んで、解いて、解説を聞く」授業をどれだけ受けても、国語力が伸びることはまずありません。

前後が分からないから、つまらないし、面白くないし、分かりにくい。

だから読む気にもならない。

また、読書習慣がない子は、文字を読むことに慣れていないため、表面的に文章を眺めるばかりです。

その子にとって未知の話題は、書いてある内容を理解するのに時間がかかるし、なかなか理解もできません。

だから、国語教室ミルンでは、できるだけ子どもの興味を引く文章を選んでいます。

可能な限り一話完結型の文章で、起承転結の整っているものを選定したいのですが、これは今後の課題です。

◆1年間を通した授業設計

4月~翌3月末までを一期間として、授業を設計しています(いずれ2月~翌1月末に変更するかもしれませんが)。

前半に読解を支える論理力を、後半に読解力を身につけるようにしています。

そのため、年度途中までのご受講では、十分な指導ができません。

通塾時間や他のお稽古との兼ね合いも考慮の上、まずは1年間通えそうかをご検討ください。

せっかく通っていただいても中途半端ではお役にたてず、お子さんのためにもなりません。

国語教室ミルンの指導法は、数か月通えばすぐできるようになるようなものではありません。

言葉を覚え、論理力を鍛え、たくさんの文章を読んで初めて総合的な国語力は伸びるのです。

スタート時の実力も違えば、集中力、理解力、ご家庭での復習度合いも違うため、目標に達するまでにかかる時間も違います。

1年で飛躍的にできるようになる子もいれば、3年たってようやく結果が見え始める子もいます。

論理力と読解力は、相互に補い合いながらアップしていくものです。

そして、国語力に磨きをかけることは後回しにはできません。

勉強を得意にしたいなら、英語よりも、算数よりも、まず母語である国語力を身につけるべきです。

◆考える、できる、わかる、楽しい授業

おしゃべりは禁止、飲食もダメ。普通の塾はそうかもしれません。

でも、国語教室ミルンの授業は違います。

授業中も、できるだけ子どもたちの声を拾い上げ、文章の話題から話を拡げて、意見を述べることを促します。

だから、普通の塾のようにシーンと静まりかえっている時間よりも、考えを述べたり、笑ったりする時間の方が多いかも知れません。

また、レベル45クラスでは通称「アメちゃんタイム」があり、くじを引いて好きな飴を選んで糖分を補給する時間があります。

だからこそ、読んで解く時間には、しっかり集中しています。

子どもたちの切り替えの早さは、驚くほどです。

一般的に国語の授業は、

文章を読む

 ↓

子どもが解く

 ↓

先生が答えを教える

という流れで進められます。

子どもたちが気にするのは、自分の答えが合っているかどうかです。

でも大切なのは、正解を教えることではなくて、答えをどうやって導き出すのかを考えさせることです。

子どもの思考に寄り添うことです。

教室の授業では、正解することよりも、どう考えたかを重視します。

子どもたちは、考えることが大好きです。

こちらがヒントを言おうとしても、ノーヒントで考える時間を欲しがります。

「正解を教えないで欲しい」とたのまれることもよくあります。

それは、自分で考えること自体を楽しんでいるからです。

そして、この自分の頭を使って思考すること抜きにして、国語力がアップすることはあり得ません

まとめ

国語に苦手意識を持つ子がほとんどなので、まずは「国語を学ぶのは楽しい!」と思える授業をします。

「楽しい」と思えて初めて「やろう!」という気になり、「わかった、できた!」を体験します。

短く切り抜かれた文章を読んで解くだけでできるようになるのは、すでに国語力のある子だけです。

国語教室ミルンでは、総合的な国語力を構成する個々の力を伸ばす働きかけをします。

まず、自分で深く正確に読めるようになることをめざします。

そうすれば、論理的に解けるようにもなります。

理解にちょっと時間がかかるお子さんは、保護者の方も一緒に授業に参加していただくこともできます。

保護者の付添いがある方が、効果が早くみられるという傾向にあり、大きなメリットでもあります。

そして、これはどんなお子さんにもあてはまることですが、国語力アップをめざすなら、復習を含めた家庭学習を欠くことはできません。