一人ひとり違うのだから

人は生まれながらにして持てる才能は違うし、興味も好みも違います。

音楽が好きな子もいれば、スポーツの好きな子もいます。

生真面目な子がいれば、オモシロイことを言ってみんなを笑わせるのが好きな子もいます。

勉強の分野でも、数字を操る能力に長けた子もいれば、言葉に敏感な子もいます。

暗記力も違えば、理解力も違うのです。

だから、ある子にとって効果の高い教え方が、別の子にとってはまったく意味がなかったということもあり得ます。

 

学校にしろ、塾にしろ、習い事にしろ、成果が見られなかった場合は、互いの相性が悪かったのだとわたしは考えます。

もちろん、極端に片方に問題があったといえる場合もあるでしょう。

指導側が誰が聞いても理解できない教え方をしているとか、生徒側の欠席が多いとかやる気がないとか。

でもたいていの場合は、一方的に塾のせいだとか、その子が悪いとかは言えないと思います。

 

塾のチラシを見ていると、「自分で考える力を育みます」「真の合格力を身につけます」などの魅力的な文言が並んでいます。

たしかにある子にとってはそうだろうけれども、そうはならない子がいるのも事実です。

わざわざ「うちの指導法が合わない子もいます」と宣伝する塾は、まずありません。

 

国語教室ミルンのホームページにある「生徒さんの声」も同じです。

通ってよかったと思っていただける生徒さんはメッセージをくださるのですが、そうではない方のメッセージをいただくことはまずありません。

苦手な国語を克服して志望校に合格するお子さんが多いのは確かです。

でも、そうではないお子さんもいらっしゃいます。

 

国語に関していえば、受験を迎えた時期に「語彙力が足りないままだった」「読みのスピードが遅かった」「精神的に幼いままだった」「通い始めるのが遅すぎた」などそれぞれの理由があるでしょう。

子どものやる気を引き出せなかったのは、指導力不足ということも考えられます。

でも、塾と子どものミスマッチが原因だとしたら、早いうちに相性の良い塾を探すべきです。

 

わたしは国語教室ミルンの授業がお子さんに合わないと感じた場合は、正直にお伝えします。

せっかく通っていただいているのに本当に申し訳ないとは思うのですが。

1年間に1人か2人は、「気がすすまないけれど通っているのでは」と感じるお子さんがいらっしゃいます。

 

・文章を読むときは上の空で、答えを書くときは隣の子のテキストをのぞき込む。

・他の生徒さんとトラブルを起こしがち。

・頻繁にお手洗いに行く。

・復習が面倒だから、間違えた答えを書き直して合っていたことにする。

 

そんな様子が見られたときは「お子さんに正直な気持ちを聞いてみてください」と、お母さまにお願いします。

親にしてみれば「せっかく入った塾だし国語力は大切だから、なんとか通って欲しい」と考えるのは当然です。

でも、本人が教室に通うことをストレスに感じるのなら、無理に通わせるのはかわいそうです。

それに、たとえ通っていただいても国語力が伸びることはまずありません。

 

・授業スピードが合わず、理解しきれていない。

・授業とは関係のないおしゃべりに夢中になってしまう。

・集団では集中力が続かず、話が聞けない。

・今やるべきことよりも自分の興味に関心が向きがち。

 

それは悪いことではなくて、その子の特性です。

そんな特性のあるお子さんには、家庭教師や個別指導が合っています。

現時点のその子には集団という指導スタイルが合わないだけのことです。

 

集団の中で全員に向けて発した質問や説明をキャッチしにくい子もめずらしくはありません。

それでも「国語教室ミルンの授業を楽しい!」と思い通ってくれるお子さんもいらっしゃいます。

ついぼんやりして説明を聞き逃してしまうと、今何をすべきかが分からなくなってしまいます。

そんな時は、テキストの箇所を教えてあげるだけで理解が追いつくこともあります。

講師だけで対応ができないときは、隣に座った子がサポートします。

そしてその頻度が高いと感じたら、保護者の付添いをおすすめしています。

国語教室ミルンには、お母さまやお父さまやシッターさんと一緒に授業を受けてくれる生徒さんもたくさんいます。

 

「保護者参観」には思わぬメリットもあります。

 

・我が子以外の子どもたちの様子も知り、子どもの細かい点が気にならなくなった

・教室の指導法が分かり、復習や家庭学習に活かせる

・自分の国語の勉強にもなる

 

そんなご感想も寄せられているので、とても狭い教室でありますが「保護者参観は大歓迎!」としています。

 

「ぼんやりしていることが想像以上に多い!こんなに説明を聞けていなくて、学校や進学塾の集団授業では大丈夫?」という心配のタネを持ち帰られるお母さまもいらっしゃいますが、ずーっと集中できている方が奇跡です。

 

塾選びに失敗して学んだこと

わたしには二人の子がいますが、大学受験に向けての塾選びはかなり慎重に行ったつもりです。

それなのに、二人ともひとつめの塾との相性が悪く、それぞれが1年後に転塾しています。

面談に付き添ったときに「個性的な先生だな」と感じたのですが、わたしも子どもも「通っているうちに慣れるのでは」と楽観していました。

その後、先生のアクの強さがイライラに変わって、反発心をあおり、やる気を奪うという負の連鎖を引き起こしてしまいました。

相性の悪い塾で過ごした1年間はまったく無駄とも言えないけれど、有意義であったとも言い難いのです。

(もちろん、その塾で学んでやる気になった子もたくさんいます)

いくら小学生ではないとはいえ、もう少し早めに子どもの相談にのるなり、アドバイスをするなりしてあげればよかったと思います。

 

小学生ならなおさらです。

塾の評判や実績がどんなに良くても、その塾との相性が悪ければ、子どもはやる気をもって自ら進んで塾に通うことはできません。

子どもの気持ちも大切ですし、親の見極めも大切です。

子どもの性格や興味や理解力を考慮して、本人と相性の良い塾を選ぶべきでしょう。

先生、教え方、指導内容のレベル、授業時間。

それらが合わなければ、できるようにはなりません。

 

タイミングが合わないということもある

小2の頃にはどうにも落ち着かず、やる気のなかった子が、小4になったら真面目に授業に参加するようになり、一気に国語力が伸びたということもあります。

その子は小2ではタイミングが悪かっただけで、中学受験を本気で望んだときにやっと力が発揮できたのでしょう。

とくに低学年の男の子は、体力があり余っていて、じっと座っているよりも外で走り回りたいと思う子が多いです。

そんなふうに、時期的なミスマッチもあるのです。

あまりにもやる気がなく塾に通うのが苦痛であるなら、無理に勉強させるよりも外遊びに時間を割いた方が、後々の国語力にも良い影響を与えます。

その子がやる気になったタイミングで入塾すれば、通塾をめぐる親子の衝突も避けられます。

 

みんなで子どもを育てる

親だけでなく、子どもに関わる周囲の大人が力を合わせて、その子にとって良い環境を整えるべきと考えます。

わたしも、できるだけ多くのお子さんにとって効果的な指導をご提供できるよう努力します。

でも「すべての子どもにとって良い塾」は理想ですが、現実的ではありません。

あれもこれもに手を拡げるのが苦手なわたしは、「国語教室ミルンの指導法」を選んでくれた子どもたちの国語力を伸ばすことに専念します。

そうすることで、学習というほんの一面ではあるけれど、かけがえのない子どもたちを育てるお手伝いをしたいと思っています。