前回のブログでは、進学塾の活用の仕方をお伝えしました。
塾に振り回されないよう家庭が主導権を握り、具体的な週間計画表を作って実行しよう!という内容です。
しかしながら、こう書いた本人が言うのもなんですが、
計画通りにコトが進めば苦労はしないけど、それができないから困っているんですよ!
と、ツッコミたくもなります。
ですが、計画がなくては有効に日々が回らないのも事実です。
そして、計画さえたてればそれでOKかというとそんなはずもなく、計画は確実に実行してこそ意味をなすのであって……
計画をたてたというのは、スタートラインについただけで、ある意味過酷とも言える長距離マラソンがこれから始まるとイメージしてください。
中学受験の場合、ランナーは子どもで、親はコーチです。 しかも結構な距離をランナーとともに伴走しなければならないコーチです。
本当の大変さは、ここからだと思います。
できれば黙々と淡々と、山あり谷ありのコースを目標タイム以内で最後まで走り抜きたいものです。
計画が思い通りに進まない要因は?
さて、なぜ計画というものはその予定通りにモノゴトを進められないのでしょうか?
それは、ズバリ、計画に無理がある!からです。
計画通りに進まないのは、そもそも計画通りに進めることができない計画なのです。
では、無理のある計画とはどんなものでしょうか?
⑴ 親にとって無理な計画
親が我が子の勉強をみることの難しさは、次の2点にあると思います。
①仕事や家事や育児で忙しく、子どもの勉強に付き合う時間がない
②子どもの覚えが悪かったり、理解が遅かったりすると、モーレツに腹が立ち怒りを抑えられない
⑵子どもにとって無理な計画
子どもが計画通りに勉強を進められない理由も2つあります。
①勉強が嫌いでやりたくない、または勉強よりも優先順位の高いやりたいことがある
②目標が高すぎて、やるべきことがてんこ盛りで消化できない
では、それぞれの対処法を考えてみましょう。
⑴親にとって無理な計画ー①時間に関しては、家事の手を抜くかスキマ時間をかき集めるかして1時間くらいをひねり出すか、それが無理なら家庭教師を雇って外注化することも考えられます。
⑵子どもにとって無理な計画ー①勉強嫌いに関しては、こう言っては身も蓋もありませんが、今の時代の暗記中心の勉強が性に合わない子は実際いると思うのです。
ただし、そういう子も勉強自体が嫌いなわけではなく、わからないことやうまくいかないことが多すぎて嫌いだと思っているだけで、きっかけさえあれば勉強に対する苦手意識も克服できるはずです。
勉強は特別な才能が求められるものではなく、努力も結果に出やすいものです。ぜひ、その子に合った学習計画をたてて、成功体験を積み、自己肯定感を高めてほしいと思います。
また、勉強はしないけれど時を忘れて没頭できることがあるなら、それはそれで幸せなことだとも思います。
さて、⑴親にとって無理な計画ー②怒りについてですが。これはわたしも身に覚えがありすぎて、語り出したら止まりません。
我が子の中学受験の勉強に付き合った際には、人生で初めてというくらいの怒りが込み上げ、それを抑えきれない自分に恐れをなしたほどです。
そして「わたしってこんなに怒りっぽい人間だった?さすがにこれはおかしいのでは?」と自分で自分の人格に疑いを持ったわたしは、コーチングを学ぶことにしました。
コーチングセミナーで、人間の心理について様々なことを学び、怒りのもとにある不安感や落胆という一次的な感情に向き合うことを覚えて、それらが引き起こす二次的な怒りをいくらか抑えることができるようになりました。
なかでも、「相手(子ども)を変えることはできない。まずは自分(親)が変わること」はもっとも効果的な手法でした。
子どもを親に従わせるのではなく、親の思い込みを手放して、子どもの立場でモノを考える習慣が身についたのです。
その結果、やみくもに子どもにタスクを押しつけることが少なくなり、子どもが感じていたやらされ感やストレスがいくらか軽減され、親子関係も良くなり、家庭学習もうまく回るようになりました。
最後は⑵子どもにとって無理な計画ー②高すぎる目標についてです。
志は高くてもいいと思うのです。
ただ目標が現実からあまりにも乖離していると、無理をしすぎるか、「自分はダメな子だ」といった無力感におそわれるかのどちらかです。
たとえば、今回のテストが50点だったなら、次回のテストでいきなり90点を狙うのは危険です。
次回のテストでは、1点でも上を狙う、平均点との差を1点でも縮めるなどを目標にしてみましょう。
小さな目標を確実にこなすことで、大きな目標は達成できるのです。
目標校についても、今の偏差値からかけ離れた学校よりも、まずはジャンプすれば手の届く学校に確実に受かる学力を身につけるべきだと思います。
そして、徐々に目標校を上げていく。
そうすれば全落ちも免れやすいし、最終的に実力に合った学校が自ずと見えてくるはずです。
親子にとって現実的な計画表
計画通りに勉強が進んでいないのであれば、ぜひ計画表をじっくり分析してみてください。
時間的に無理はありませんか?
現時点での目標が高すぎて、内容を詰め込みすぎていませんか?
我が子にとって不必要な宿題までやろうとしていませんか?
計画は、実行できてこそ価値があるのです。
無理があるのなら、すぐに見直しましょう。
計画通りに勉強してもまったく効果がないのであれば、勉強内容を見直しましょう。いくら頑張っても、対策が間違っていては、良い結果は望めません。
そして、今の目標を達成したら、新しい目標に向けて計画も立て直しましょう。
学習計画表は、1回作って終わりではなく、手をかけ目をかけて、子どもとともに育てていくものです。
親子で一緒に計画表を作るなんて、小学生のうちにしかできないことです。
高校受験や大学受験に向けて親ができるのは、食生活を整えることと金銭的なサポートをすることくらいしかありません。
だからこそ小学生のうちに、計画を立てるノウハウを伝えておきましょう。
計画を立てて実行する力は、将来仕事をする際にも家庭生活を営む上でも、必ず役立つはずです。