平成の終わりにあたってやり残したことはないかと考えてみたら、それは我が子への懺悔でした。懺悔とはいかないまでも、お詫びしたいと思ったのです。
心ない言葉をかけてしまって、ごめんなさい
あなたたちが幼かった頃、とくに小5〜6年の中学受験期にかけては、子ども相手に大人気ない言葉をずいぶんと投げかけてしまいました。後悔しています。
わたしは、勉強も含めたあらゆることに関して「結果よりも過程が大事」と考える人間です。
だからあなたたちが思うような成績をとれなかったときも、それがやるべきことをしっかりやった結果であれば「頑張ったのに残念だったね」という共感の言葉をかけられました。
心からそう思っていたからです(ただし怠けた結果が散々だったときには、こっぴどく叱りましたが)。
それなのに、家庭学習に付き合う際には「どうしてわからないの?」「覚えたはずなのになぜ間違えるの?」といった無意味な質問を投げかけてしまうことが度々ありました。
そんな答えようのない問いに対してうなだれて黙り込むあなたたちの姿を、10年たった今でも忘れることができません。
いくら頑張っても、わからないことはあるし、間違えることもあるはずなのに。
あれは親から子へのパワハラ、モラハラであったと深く反省しています。
あの問いは、子どもを思ってではなく、親の落胆や怒りの発散としての呪いの言葉です。
自分の感情を抑えきれないがための八つ当たりと同じ。
案の定、叱責の後に残ったのは後味の悪さと気まずさ、反抗心と不信感だけでした。
たとえあなたたちを発奮させようと思って発した言葉だったとしても、言われた側にしてみれば、それは言い訳に過ぎません。
嫌味や皮肉、叱責を投げかけることによって人を成長させることはできません。
そんな簡単なことが、あの頃のわたしにはわかっていなかったのです。
我が子なのだからわかってくれるという甘えと、小さいうちに厳しくしなければという焦りのもと、我が子をひとりの人として尊重する気持ちが欠けていたのだと思います。
あなたたちが成人し、当時のわたしの年齢に近づいてきた今になって、未熟な母親であった自分を恥ずかしく思います。
後悔しないためにも
現在育児中のお父さん、お母さんたちには、わたしと同じような後悔をして欲しくないと切に願います。
親の思い通りにならない子どものふるまいに、腹立ちまぎれの心ない声掛けをしてしまいそうになったときは、10年後を想像してみて下さい。
そう遠くはない将来に、自分で自分のことを恥ずかしいと思わなくてすむように。
国語ができないから習うのです
国語教室ミルンには、今よりも国語力を伸ばしたいと思う子たちが通ってくれています。
教室で習うことのすべてがわかるのであれば、通う必要はありません。
まだわかっていないこと、知らないことを習いに来てくれるのです。
勉強とは、わからないことをわかるようにすることです。
だから授業では「今できないこと、わからないことを見つけ出そう」と指導しています。
そのため、できた問題にマルをつけるのではなく、間違えた問題にチェックをつけてお家で復習するように伝えています。
でも、「チェックをつけるとお母さんに怒られるから」と、答えを書き直して「最初からできていたことにする」子もいます。
これはめずらしいことではありません。悪気があるわけでもありません。
誰だって親にはほめられたいし、できるところを見せたいのです。
そんな子どもの気持ちもわかりますが、それではいつまでたってもできるようにはならないし、勉強の仕方を身につけることもありません。
簡単な問題を間違える我が子にイラ立つ親の気持ちも、痛いほどよくわかります。でも、怒らないでください。
グッとこらえて、淡々と復習に付き合ってあげてください。
「わからない部分がはっきりして 復習すべきところが わかって良かった」と喜んであげてください。
できないことを親にひどく責められたから子どもがやる気になるなんてことは、まずありません。
むしろ逆効果で、度を過ぎた叱責が続くと、親子関係にヒビが入りかねません。
子どもが大学生になり一人暮らしを始めたら、日常的に会話をすることはなくなります。
人生のうちで親子が共に暮らせる期間は、想像していたよりもずっと短いものでした。あっけないほどに。
そう知っていたなら、子どもと一緒に暮らす貴重な日々を、できるだけ楽しく前向きな会話で埋めようともっと意識して過ごしたのになぁ、と思います。
学習面に限らず、日常生活でつい小言が多くなってしまうなら、コチラの記事が参考になると思いますよ。
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