小学生はオンラインだと集中できないのか
授業中の集中力についてご質問を複数いただいたので、こちらで回答を共有いたします。
◆質問
オンラインでは気が散ってしまうようですが、教室での対面授業では集中できますか?
半年以上Zoomでオンライン授業をしてみた結果
◆回答
人による
私も当初は、どんな子でもオンラインでは集中しづらいものと思っていました。
ところが数ヶ月にわたってオンライン授業をしてみて気づいたのは、「集中力は オンラインか対面かよりも、子どもの特性に依存する傾向が強い」ということです。
教室で集中して授業を聴く子はオンラインでも集中し、教室でよそ事を考えてしまう、あるいはおしゃべりが多い子は、オンラインでも集中できないことが多いように感じます。
学校の先生方のレポートにも「自発的に勉強に向かう子と気が向かない子の差が、オンラインでは対面授業よりも目立つ」との記述がありました。
勉強習慣のある子にとっては、教室よりもオンラインの方が集中しやすい。
逆に、教室という集団の場では目立たなかった(学校や塾での様子を親が目にすることがなかった)「集中していない」子どもの状態が、オンラインでは親の目につくようになる。
つまり、オンラインでは、集中する・しないの差がより大きく見える、あるいはその差に気づきやすいことになっているのだと思います。
学校や集団塾など、1:多の学習の場では、教師の目が自分に向いていない時によそ事を考えてしまう子は一定数います。
もちろん集中力が途切れたときはひとりずつ声がけをしますが、生徒さんは複数いるためサポートは完全ではありません。(理解が心配な場合は保護者の付き添いもお願いしています)
当たり前ですが、勉強が好きか嫌いかも授業中の集中力に大きく影響します。
私は、勉強に対する集中力の有無は良い悪いではなく、その子の特性と捉えています。
勉強には集中できなくても、サッカーの練習やピアノの演奏、プログラミングなどでは集中力を発揮する子もいます。
それは、今やっていることを「楽しい!おもしろい!」と感じられるからです。
国語教室には国語の苦手な子が集まるわけで、「わからない、できない、つまらない」を「わかる!できる!もっとやりたい!」に持っていくには、相応の指導力を要します。
レベルが合っていないと「わからない、できない、つまらない、集中できない、もっとわからなくなる」の悪循環に陥ります。
そのため国語教室ミルンでは、学年でクラスを分けるのではなく、一人ひとりの実力に合ったレベルを受講できるようになっています。
大人は「国語が得意になる」という結果を求めがちですが、その前提として「国語を学ぶのが楽しい!」と子ども自身が思えることは欠かせません。
だから入塾を決める前には、お子様本人の意思をしっかり確認していただきます。
オンライン授業の思わぬメリット
『引っ込み思案の子は、オンラインだと積極的になれる』
『にぎやかな子は、授業に無関係なおしゃべりをしない』
オンラインには、教室の対面授業では十分に力を発揮できていなかった、どちらのタイプの子にもメリットがあることに気づきました。
国語教室ミルンのオンライン授業は、リアルタイムの双方向授業です。
講師が話す内容をただ聞くだけではありません。
生徒さんはカードやホワイトボードを使って意思表示をし、解答を発表します。
送迎の手間と移動時間がない分、親子共に時間的にも体力的にも余裕が持てます。
自宅にいるため、多少体調が悪くても気楽に受講できます。
席数に限りのある対面授業では、振替やクラス変更はできませんが、オンラインなら可能です。
レベルが合わないと感じたら、気軽に一つ上や下のレベルの授業に参加することもできます。
その他にも「自分で考える習慣が身についた」というお声もいただいています。
教室では、答えがわからないときに隣の子の答えを写す子もいます。
自信がない子ほど自分で考えることよりも「人の答えを見ること」に頭を使ってしまいます。
そして「見た」「見ていない」のケンカが始まることもあります。
「わからないことを学んでいるのだから、間違えても大丈夫」とは伝えていますが、間違えることやできないことに強い抵抗を感じる子もいます。
その点オンラインには「人の答えが一切わからない=気にならないため、自分で集中して考える時間を確保できる」というメリットもあります。
さらにオンラインではおしゃべりをする子がいないので、それに反応することもなくなり、みんなが集中しやすいという傾向もあります。
親の目が行き届くために、よそ見をしている暇がないというのも理由の1つでしょうか。
教室の生徒さんに実施したアンケートで「オンラインの方が集中できている」といったご感想が多く見受けられたのも、こういった理由によるものと思われます。
ただし、オンライン授業にもデメリットがあります。
ひとつは、ご家庭のネット環境が整っていないと音声が途切れたり画面がフリーズしたりすること。
もうひとつは、生徒さんがビデオをオフにすると、講師側は生徒さんの解答も様子も把握できないこと。
たいていは声掛けすればすぐにビデオはオンになるのですが、反抗期真っ最中の子や勉強をしたくない気持ちの強い子は、授業に集中することは難しいと思います。
それは対面授業であっても同じです。
「時間になったらパソコンに向かいZoomに接続さえできればよし。子どもの気持ちが勉強に向くまで待とう」という親側の忍耐力が試される時期でしょうか。
すでに教育界では、「オンラインができる・できない」ではなく、「いかに生徒を惹きつけるオンライン授業を提供できるか」が話題になっています。
オンラインでは教室で体感できる身体的な臨場感や一体感を味わうのは難しいと思います。
一方で「先生が頻繁に生徒の名前を呼ぶので、子どもが他の子の名前や個性を覚え、クラスメイトとしての仲間意識が高まっている」というご感想もいただきました。
これまでのように身体的に密接な関わりが持てないウイズ・アフターコロナ時代にあっては、小さな個人教室のあり方の再考が迫られています。
教室での対面授業を単純にオンラインに移行することはできません。
オンラインとして新たに授業を設計し直す必要がありますが、それこそ講師の仕事ですし、すべての授業をオンライン化した2020年度は日々この作業をし続けています。
いずれにしても私の使命は、子どもたちの集中力を維持できるような授業を提供していくことです。
単純な算数や国語の問題を出題したところ、問題が解けない学生や生徒が多かったのです。問題が難しいのではありません。解けなかった理由は、問題の意図を読み解けないからです。なぜ読み解けないのでしょうか?
その原因の一つは、問題を最後まで読み込む集中力がない、あるいは集中力が続かないことが考えられます。集中力も感情をうまく使って実現する力です。問題に集中できないと、「適当に答える」、「途中で問題を読まず回答する」ことになり、問題の途中で思考することを止めてしまうのです。
(本文より引用)